「サニングデールの怪事件」

原題は「The Sunningdale Mystery/サニングデールの謎」。

【登場人物】
アンソニー・セッスル大尉・・・殺人事件の被害者
ウィルフレッド・ホラビー・・・セッスル大尉の共同経営者
ホラビーJr.・・・その息子
ドリス・エヴァンズ・・・殺人事件の容疑者
茶色の服を着た女・・・???


【ストーリー】
開店休業中の国際探偵事務所、依頼が無いならこちらから事件の方へ押しかけていこうと、目下新聞を賑わせている殺人事件の捜査に出向く。
事件が起こったのはサニングデールのゴルフ場、セッスル大尉がゴルフコースに現れた背の高い茶色いの服の女と会った後にプレーの調子を崩し、途中で帰ってしまった。その翌朝死体が発見され、検視の結果、ハットピンで刺されたことによる他殺と判明した。容疑者のドリス・エヴァンズは目撃された茶色の服の女と違って小柄で、セッスル大尉と会ったことは認めつつも容疑は一貫して否定していた。
トミーとタペンスは現場のゴルフ場に足を運び、実際にコースを回りながら推理を展開していく。

【サニングデール・ゴルフ・クラブ】

サニングデール・ゴルフ・クラブはロンドン南西部にあり、1901年にオープンした名門のゴルフ場として有名。
トミーは独身の頃はよく通っていたといい、タペンスと共に現地に赴き、事件の起こったコースやその周辺を実地検証する。

【女性の帽子とハットピン】

ゴルフ場で殺された男は女性のハットピンで刺されていた。

ハットピンは女性の大きな帽子がずれないように髪に固定しておくために使われた長いピン。19世紀に登場し、装飾的な美しいものも多く作られた。護身用の武器代わりに使われた事件もあったという。
20世紀に入り女性がコルセットから解放され、1920年代になるとヘアスタイルも短くシンプルになり、頭をすっぽり覆う釣鐘型のクロシェが大流行。大きな帽子と共にハットピンも使われなくなっていった。
ドラマの中では、タペンスが「ハットピンなんて、もう4年も使ってない」と言っていた。

タペンスが誘惑に抗えずに購入した最新流行の帽子。

容疑者のドリスが被っていたのは、かぎ針編みのニット帽。

【参考サイト】
ハットピンの意外な使われ方(外部リンク)>>
・【ハットピンの歴史】美しき装飾品が●●に?!驚きの事件とその顛末!(外部リンク)>>

 

【アイヴァー・ノヴェロ】

映画好きのアルバートがこの回で熱く語っているのは、アイヴァー・ノヴェロ(作曲家、歌手、俳優)。
ノヴェロが主演しているサイレント映画「ねずみ/The Rat」(1925年)とその続編「ねずみの凱旋/The Triumph of the Rat」(1926年)を、トミーに熱心に勧めていた。
ノヴェロは1927年には、ヒッチコックのサイレント映画「下宿人」と「ダウンヒル」に出演している。
また、ロバート・アルトマンの「ゴスフォード・パーク」(2001年)には、イギリスのカントリーハウスのゲストとしてノヴェロ(ジェレミー・ノーザム演)が登場する。

【原作との違い】

原作ではバロネス・オルツィの「隅の老人」を真似てABCショップでチーズケーキとミルクを注文し、新聞記事の情報だけを元に推理を展開、最後にマリオット警部も登場する。
一方、ドラマではABCショップでチーズケーキとミルクは注文するが、「隅の老人」についての言及はない。また実際に犯行現場のサニングデールまで赴き、現場を捜査しながら真相にたどりつく。マリオット警部は登場しない。

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