監督:工藤栄一/原作:横溝正史/音楽:真鍋理一郎
出演:古谷一行、京マチ子、月丘夢路、小山明子、田村亮、ハナ肇、西村晃 他

ネタバレ注意!!

1970年代の後半から1980年頃にかけて横溝正史の一大ブーム期があった。
私もけっこうはまったクチで原作本もかなり読んだが、劇場で見た映画はブームも終盤の「悪霊島」「蔵の中」 (それと1996年の「八つ墓村」)だけである。(その他の殆どの映画はTV放映で見た)

映像としての金田一耕助は映画よりもむしろ毎日放送の「横溝正史シリーズ」で馴染みがあり、毎週欠かさず見ていたせいもあって、私にとってはどうしても「金田一耕助=古谷一行」のイメージが浮かんでしまう。
(但し、その後の2時間枠のものは殆ど見ていない)

未だ多くのファンの心を掴んでいるこのシリーズの記念すべき最初の作品がこの「犬神家の一族」だった。 莫大な遺産の相続に揺れる財閥一族を襲った連続殺人事件・・・・という豪華な舞台設定に豪華配役陣で、5回に渡って放映された。

犬神三姉妹、松子、竹子、梅子はいずれも着物の似合う美人女優たち。
中でも京マチ子(松子役)の能面の様な美しさには息を呑む。
(父の遺影の前で写真を燃やす京マチ子の凄まじい美しさ!)

マツコ奥様、お美しい・・・・( *´艸`)

普段は仲が悪いのに、父の若い愛人親子に対しては一致団結して焼き鏝リ~ンチ!の強烈三姉妹に比べて犬神家の男共は影が薄いのだが、長女松子・溺愛の佐清(スケキヨ)だけはその異様なゴムマスクのおかげで台詞もないのに目立ちまくり。
ぽっこり開いた目の部分がやけに恐い。
(このスケキヨ・マスクが幼少期のトラウマになっている人が日本全国に少なからずいるはずだ)


マザコン気味のスケキヨさん

斧(ヨキ)・琴(コト)・菊(キク)、松・竹・梅の三姉妹、白いゴムマスク、湖から突き出た二本足・・・等々、 視聴者の心を掴む要素は山盛り。このどろどろした犬神ワールドの中で古谷・金田一は今で言う「癒し系」の魅力で 見る者をホッとさせる。

生首や湖から引き上げられた死体に漂うマネキン感は仕方ないとしても、納得できないのはヒロイン「野々宮珠世」役である。
小説の描写だと「絶世の美女」、ドラマ中でも「あんな綺麗な人は東京にもいない」という台詞が出てくるが、激しいブーイングに晒されること必須である!!!珠世役(宝塚の人が演じていた)に華があればもっと盛上がっただろうにと残念でならない。
球世をめぐって男たちが争奪戦を繰り広げるというのになぁ~(ノД`)・゜・。

また神経に変調をきたす小夜子の描写や、犯人が罪滅ぼしに小夜子と佐智(スケトモ)の子供のことに言及する原作の台詞は省略しないで欲しかった。

このシリーズで強く印象に残っているのがエンディング曲「まぼろしの人」である。
茶木みやこがけだるい声で歌う この不思議な曲、シリーズ中ずっとエンディングに流れていたので一番の歌詞だけはすっかり覚えてしまい、今でも歌えるくらいである♪(自慢)
また劇中に流れる音楽も不気味ながらも格調高く、ドラマを盛り上げるのに欠かせなかった。