2018年にNHKでドラマ化された「悪魔が来りて笛を吹く」をようやく見た。

原作は何度か読み返しており、過去に映画化・ドラマ化された同作品のほとんどは見ているので、なじみの深い作品。
過去の映像作品と比べてもなかなかの衝撃度だったし、やはりなんとも後味の悪いお話。
謎解きの説明に費やす時間がかなり長くとってあった。

ネタバレあります!!

これまでいろいろな女優さんが演じてきたが、私にとってのベスト秌子(あきこ)様は1979年の映画版の鰐淵晴子。幼児性があり暗示にかかりやすく、淫靡な美しさがある。
だけど、それとは全く違って強烈だったのが、今回の新タイプの秌子様。
第一印象は華族のお嬢様って感じがしない・・・と思いつつ見始めたが、終わってみれば、こういう秌子様もありだと納得してしまったのは演じる筒井真理子の力量に負うところが大きい。「天外者」の時と全然違う。
原作に描かれた秌子様は、周囲に流されてしまう軸の無い女だが、新・秌子様はむしろ意識的に悪徳を選択してる感じがある。姉と弟と設定を逆転させたことで、姉の影響力が強く、須磨の別荘での過去の出来事はむしろ秌子様が利彦をけしかけて主導的に引き起こしたんじゃないかと、そんな場面すら浮かんでくる。病み具合というか、そのおぞましさはピカイチ。
暗示にかかりやすいとか、死んだ夫の姿を見て騒ぎまくる等の原作通りの設定と新・秌子様のキャラクターが今一つ融合していない感じはあるけれど。

そして今回の利彦さん、華族のお坊ちゃまというよりはチンピラみたいだが、今までの影の薄い利彦たちに比べたら、良くも悪くも存在感があった。
モラハラ夫に長年苦しめられた妻の華子さんが、そこはかとなく明るさの漂う表情で「夫が死んだことを喜んでいる自分がいる」的な心情を吐露したのは、しっかりと記憶に残った。
華子、よく言った!

原作を改変している部分は・・・
・犯人は自分の出生の秘密を知らないまま犯行に及んでいる。
・フルートの旋律の謎が解けるのは、すべて終わってからの後日譚で語られる。
・「ウィルヘルム・マイステル」の説明の省略
などなど。

さてストーリー展開と全然関係ないところのツッコミ。
美禰子のファッション~終戦の数年後の時代で、華族のお嬢様があの短いスカート丈はないよね・・・と、スカート丈チェックしてしまった。
それと、原作に登場した女中のお種さんや、秌子様付きのもと乳母の信乃は今回省略されており、あのお屋敷では、東太郎と菊江の2人で家事全般をやっているという設定だったようだ。あんなに広いお屋敷&庭園なのにたった2人で回していくのはとうてい無理!完全犯罪以上に無理無理!!しかも、東太郎は裏でいろいろ忙しかったはずだし、菊江さんはいつも素敵なお召し物に髪型で綺麗に装ってて、あれじゃあ家事はこなせないんじゃない?・・・と変なところが気になって仕方ない私。

そして、あんなに異常な親がいるという環境の中で育ったのに、美禰子と一彦(利彦の息子)はその気質を受け継いでないようで良かったね。

あ・・・全然、主役の金田一さんについて触れてないわ、あまりに新・秌子様が強烈だったんで。